“日の丸原油”獲得なるか イラク権益第2R


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 イラクに日の丸の旗は翻るのか。戦後復興資金を獲得するため、海外企業に解放される油田権益の2次入札が、11、12日にバグダッドで行われる。資源小国の日本にとって権益を持つ“日の丸(自主開発)原油”の獲得は悲願だが、6月の1次入札では中国国営会社や欧米メジャーにさらわれた。日本勢は当初から大規模な未開発油田を含む2次に狙いを定めてきたが、ライバルは多い。「最後のフロンティア」をめぐる第2ラウンドのゴングが鳴る。

 「各国がイラク戦争の戦利品を虎視眈々と狙う一方で、イラク側は1円でも高く売りたい。欺(ぎ)瞞(まん)情報も飛びかうスパイ戦だ」

 国内石油開発会社の幹部は、水面下で過熱する駆け引きに身構える。

 埋蔵量でサウジアラビア、イランに次ぐ世界第3位のイラク。なかでも、2次入札の対象となるマジヌーン、西クルナ、東バグダッドなど10カ所には大量の原油が眠っている。

 埋蔵量150億バレルと推定される西クルナ油田では、フセイン政権時代に契約を結んでいたロシアのルクオイルと米コノコフィリップスの連合軍に対し、米エクソンモービルが名乗りをあげ、早くも火花を散らしている。

 これに対し、日本勢は国際石油開発帝石(INPEX)や石油資源開発など6社が入札資格を持っているが、劣勢は否めない。

 経済産業省の幹部は「日本企業は油田の開発・運営の実績が乏しく、欧米メジャーなどと組むしかない」と説明する。

 1次入札に唯一参加した石油資源開発は前回と同様に2次でもマレーシアのペトロナスなどと組み、ガラフ油田の獲得を目指す。2005年からイラク石油省と共同調査をしてきた実績を武器に巻き返す構えだが、連合の中でどれだけ主導権を発揮できるのか、不安視する声もある。

 1次入札で中国石油天然ガス集団(CNPC)は、英BPと組んだルメイラ油田で権益獲得に成功。10月に入り、南部ズバイル、西クルナの2油田で欧米メジャーが相次いで交渉を成立させた。

 「来年1月の総選挙は延期も取りざたされているが、現政権下での合意を急ぎ、メジャー側が金額面で妥協した」(関係者)という。資本力や交渉力、情報力で日本勢はとても太刀打ちできない。

 ただ、イラク側には日本からの投資への期待は大きい。

 11月11日に都内で開かれたイラク投資セミナー。来日したガドバン首相顧問会議議長は「すでに欧米メジャーはバスラなどに駐在員事務所を設置し、イラク側も便宜を図っている。日本企業もきてくれれば、同様に便宜を図るつもりだ」と、はっぱをかけた。

 日本のイラク向けODA(政府開発援助)は約50億ドル(約4350億円)に達し、米国に次ぐ第2の供与国だ。

 イラク原油生産量を現在の日量240万バレルから段階的に600万バレルまで拡大する目標を掲げる。日本は、その実現に欠かせない原油輸出基地の復旧にODAを供与するなど、戦後復興への貢献度は高い。

 こうした官民一体の“総合力”が、実を結びつつあるのが、ナシリヤ油田だ。1、2次入札とは別枠の指名入札で、新日本石油、INPEX、日揮の3社連合が基本合意に達し、詰めの交渉を行っている。

 同油田は日量60万バレルが見込まれ、過去最大規模の日の丸油田となる。うち半分を日本が輸入し、残りは現地に建設される製油所で精製してイラク国内向けに出荷する計画だ。

 イタリア石油大手、ENIと激しく競り合ったが、製油所のほか、発電所など総額1兆円近いプロジェクトの資金調達に国際協力銀行JBIC)が参画する枠組みが評価された。

 日の丸原油は、ペルシャ湾のカフジ油田で権益更新に失敗。イランのアザデガン油田は、いったんは75%の権益を獲得しながら、米国とイランの関係悪化でその大半を手放さざるを得なくなるなど連敗続き。日本勢としては、ナシリヤの権益獲得で、2次入札への弾みをつけたいところだ。

 アラビア石油の穂谷野一敏社長は「3次入札や指名入札などまだまだチャンスがある」と、2次が駄目でもあきらめるつもりはない。

 原油輸入量に占める自主開発原油の割合は平成19年で11%。これを40%に引き上げる方針を掲げる政府のバックアップが、悲願成就のカギとなりそうだ。(上原すみ子)

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