選挙後の「政治空白」長期化=治安、国民生活に影

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 【カイロ時事】イラクでは、3月の連邦議会選から5カ月が経過する中、新政権協議が迷走し「政治空白」が長期化しており、8月末までの駐留米軍戦闘部隊の撤退を控え、治安や国民生活に暗い影を落としている。
 政権協議迷走の大きな原因は、アラウィ元首相の世俗会派「イラキーヤ」が91議席を獲得したのに対し、マリキ首相率いる法治国家連合も89議席を得たため、明確な勝者が不在だったことにある。来年末までの米軍完全撤退を前に、イランやサウジアラビアなど周辺諸国が水面下で首班選びに影響力を行使していることも事態を複雑化させているとの見方が強い。
 スンニ派のサウジなどの影響下にあるとみなされるアラウィ元首相は、イラク多数派のシーア派少数民族クルド人勢力の支持を得られず、政権協議を主導できないでいる。一方のマリキ首相は、同じシーア派の「イラク国民同盟」から独断的な政治手法を批判され、首相続投へシーア派内をまとめ切れていない。
 米軍撤退を前に過激派の活動活発化や、酷暑の中での電力不足など課題が山積する中、重要な政治決定ができない状態に国民の不満は高まっている。しかし、「治安も国民生活への影響も予想されていたほどではないため、政治家は新政権樹立を急ごうという雰囲気にはない」(在バグダッド外交筋)のが実情だ。
 選挙自体は民主的に行われたものの、その結果はくすぶる宗派間対立の火種をあおる形となっており、アラブ首長国連邦UAE)紙は「イラクの民主主義は破綻(はたん)のとば口に立っている」と論評している。http://www.iraq-d.com/  8月15日16時34分配信時事通信