イラク:シリアと関係冷却 首都テロの容疑者引き渡し巡り

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 【カイロ和田浩明】8月のバグダッド中枢部連続爆破テロ以降、イラクとシリアの関係が冷却化している。シリア領内にいるとされる容疑者の引き渡しをめぐり双方が大使を召還したのをはじめ、首脳同士が非難合戦を展開。イラクは国連に事件の調査を要請し、シリア国境の警備要員を増強するなど強硬姿勢を強めている。トルコが仲介に乗り出しているが、現時点では緊張緩和の糸口は見えていない。

 イラク政府は8月19日の連続テロを計画・指示したとして旧政権党バース党の幹部2人の引き渡しを要求した。しかし、シリア側は「関与の証拠を示せ」と拒否の構えを崩していない。イラク当局が逮捕した容疑者の1人は、「シリア領内の元バース党幹部の指示を受けた」と供述している。

 両国は同25日に大使召還を発表。マリキ・イラク首相は、武装勢力流入拠点になっているとシリアを批判し、アサド・シリア大統領は「政治的動機」に基づく批判だと反発した。

 マリキ首相は同30日付の書簡で国連安全保障理事会に対し独立委員会による事件の調査を要請。今月5日までにシリア国境に数千人単位の警備要員を増派し監視体制を強化した。

 イラクとシリアの関係悪化を受け、最近、中東の諸問題への関与を強めるトルコはダーブトオール外相を両国に派遣。同外相は訪問終了後の2日、「信頼関係を構築し緊張を緩和する手助けを続ける」と語った。

 エジプト・アハラム政治戦略研究所のハッサン・タリブ副所長は「国内の治安悪化をめぐる批判をそらすためにマリキ首相がシリアたたきを行っている側面もある」と分析している。

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