新刊:イラクで私は泣いて笑う 「棗椰子はつなぐ」の玉本さん登場


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 イラク戦争後のイラク社会の現実を現地で活動するNGOの人々が語る「イラクで私は泣いて笑う NGOとして、ひとりの人間として」(酒井啓子編著)が出版された。「棗椰子はつなぐ」を毎日新聞大阪面で連載しているアジアプレス・インターナショナル所属のジャーナリスト、玉本英子さん(42)が東京外国語大大学院教授の酒井さんとの対談でイラク取材や、今の仕事を選んだきっかけについて多くを語っている。

 玉本さんがここ数年、東大阪市の小学校との交流を仲立ちしているジャワーヒリ小学校がイラククルド自治区・アルビルにある。ある日、この学校で日本の家族の日常を撮影したビデオを見せたという。お好み焼きを食べる際、日本のお母さんがジョッキに注いだビールをグビグビ〜っと飲むのを見て、イラクの子どもたちが手をたたき、笑いすぎて涙まで流した。イラクでは悲しくて泣く人しかいない。本のタイトルは、この場面に由来する。

 玉本さんは被爆2世。核兵器がもたらす被害の大きさを伝えるため、やはりクルド自治区にあるハラプチャで開いた原爆展についてのくだり。当時のフセイン大統領から毒ガス攻撃を受けた町の人々は高い関心を示してくれた。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)から資料を借り、玉本さんが個人で企画・開催したことに酒井さんも驚く。

 最近はイラクのニュース企画を大手テレビ局に持ち込んでもなかなか通りにくいという。素顔の市民を撮った映像はあまり使われず、使われるのは爆発の瞬間を撮影した「危険なイラク」の映像だ。イラク市民の「素顔」の面白さは毎日新聞大阪面と毎日jpの連載で読んでほしい。

 本はJVCブックレットで「めこん」刊。920円(税別)。日本イラク医療支援ネットワーク事務局長の佐藤真紀さんと日本国際ボランティアセンター(JVC)イラク支援ヨルダン駐在員の原文次郎さんも体験を語っている。【大阪メディア室、高村洋一】
コメント:私も読んでみたいと思います。
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