シーア派政党指導者・ハキーム師死去


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 【カイロ=村上大介】イランからの報道によると、イラクイスラムシーア派有力政党「イラクイスラム最高評議会」(SIIC)の指導者、アブドル・アジズ・ハキーム師が26日、肺がんの治療を受けていたイランの首都テヘランの病院で死去した。59歳だった。イラクでは来年1月の国民議会選挙に向け、SIICなどシーア派勢力が新たな会派を結成したが、マリキ首相のダアワ党は参加を見合わせ、シーア派の分裂が表面化している。有力指導者の死は、イラクの政界再編に微妙な影響を与えそうだ。

 SIICはダアワ党などとともに、国民議会最大会派「統一イラク同盟」を構成するシーア派の最有力勢力。今年6月末のイラク駐留米軍戦闘部隊の都市部撤退後、首都バグダッドなどで再び大規模テロが増加し、マリキ政権への批判が高まる中、総選挙をにらんだ主導権争いが激しさを増している。

 SIIC幹部は今月24日、「統一イラク同盟」を解散し、SIIC主導の新会派「イラク国民同盟」を結成したと発表。選挙後の新政権について、SIICは新会派内の選挙で次期首相候補を決めるとしているのに対し、ダアワ党は党首のマリキ氏の首相留任について確約を求め、新会派をめぐる交渉は決裂した。

 SIICは、ダアワ党に新会派への参加を求める姿勢を崩していないが、今年1月の地方選ではダアワ党が躍進しており、マリキ首相はクルド人も糾合した別の会派結成を目指しているなどとする、さまざまな憶測が流れている。

 ハキーム師は旧フセイン政権下の1982年、実兄のムハンマド・バーキル・ハキーム師を指導者に亡命先のイランで結成されたイラクイスラム革命最高評議会(現在のSIIC)幹部に就任。03年8月にイラク中部ナジャフで爆殺された兄の後継者として党を率いてきた。次期指導者には息子のアンマール氏が有力で、ベテラン幹部が補佐する形になるとみられるが、政界再編の動きの中で党の求心力が低下する可能性も指摘されている。

コメント:米国のギブズ米大統領報道官が「イラク史において重要な役割を果たした」と評価をし、弔意を表す声明を発表したそうです。ご冥福をお祈り致します。

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